第二弾インタビュー 浅草大学芋「千葉屋」増田店長

「さつま芋と相談する大学芋」浅草・千葉屋

「産地こそが店の顔。

    だから千葉屋。」

現在は様々な品種・産地のさつま芋があるが、以前は「大学芋のさつま芋=千葉県の芋」という位千葉県産の芋が主流だった。

そこで芋関連問屋で働いた後に独立した曾祖父様(創始者)は産地としての千葉県を屋号に起用した。これをたた単に「シンプルな屋号」と思うことなかれ。

これは「さつま芋の産地」=「お店の味」と言える程、素材から吟味しているという証でもあるのだ。


「全ては芋と相談する」

前述したように「さつま芋」に対するお店のこだわりは店名に表す程、第一のこだわりに挙げられる。

もちろん「芋」以外にもこだわりはある。

まず「秘伝の蜜」。こちらの製法はやはり職人秘密。しかし蜜が芋にほどよくからまっているこの蜜。秘密を知ったとしても再現は難しいであろう。

そして千葉屋は「できたてホカホカ流」。お客様の流れを見ながら、随時アツアツホカホカのものを袋詰めして渡してゆく。

その人の流れにもよるため閉店時間前に大学芋、切り上げが売り切れてしまうこともよくある。筆者も大学芋がないショーケース前で途方に暮れた事もあった。

もう少し多めに作ってくれないかと聞いたところ、「売れるだけ売る」スタンスならば無理して仕込むこともできるかもしれないが、無理をしては本当の味は提供できないとのこと。「結局、全ては芋との相談」と増田店長はおっしゃっている。


「引き継がれる伝統」

昔は関東県に沢山あった大学芋屋さんも、現在は激減した。それに伴い、大学芋を食べることが日常である世帯も多いとは言えない今。それでも千葉屋には近所の御客様はもちろん、浅草という土地柄海外の御客様も口コミで多く訪れる。中でもお得意の御客様は「先日のお芋はいつもと違う食感だったね」等、恐ろしい程味を言い当てる御客様もいるようだ。人々が移りゆく中、時代に対応した変化を意識しながらも、伝統を継承しつつ続ける

事が千葉屋の使命だと、増田店長はおっしゃる。

その視線の先には千葉屋と共に浅草の変化を見続けてきた言問通りがあった。